溺愛なんて聞いてない!
お昼、と言ってもお弁当持ちの私は茉奈ちゃんと社食へ。
窓際の隅の方、四人掛のテーブルへ腰を下ろす。今日の日替わりを持ってきた茉奈ちゃんが座ったのを確認して『いただきます』と手を合わせた。
「さっ、先輩!教えてください!」
待ちきれない!とでもいうように箸を持つまでもなくずずいっと茉奈ちゃんが動く。
何が聞きたいのかも分からずに、お弁当を口に運びながら「食べないの?」と聞いてみた。
「先輩!そんな事はどうでもいいんです!北王子さんとはどういったご関係ですか!!」
「ブッ、っ、━━━━━━━ハ、ハァ?」
「ちょっ、先輩汚い!」
「な、なんで煌!?」
「きゃーーーー。煌、名前呼びですか?」
「あっ!や、ち、ちがーーーーーう!」
「大丈夫です!私、誰にも言いませんから!」
「や、あの……茉奈ちゃん?あのね、……「ここ、いい?」」
大興奮の茉奈ちゃんを落ち着かせるのに夢中で近づく人に気付かなかった。
「北王子さんっ!」
はっ!?煌????
「隣、いいかな?」
胡散臭い笑顔を振り向きながら私の隣の席へ腰かける煌。
良いなんて言ってないんだけど!