溺愛なんて聞いてない!

一人勝手に焦りだす私に気づきもせずにこやかに茉奈ちゃんに玉子焼きを差し出す煌。


ちょっ、ちょっと!!!!




「あ、一花。これって醤油味だったよね?」


くるりと顔を向けられて、流れるように問い掛けられた。


「砂糖味だってば!!!!」

「あれ?いつも甘かった?」

「甘くない玉子焼きなんて玉子焼きじゃないっていつも言ってるの煌でしょ!?」

「あぁ、そうか」


そう言うと茉奈ちゃんの方へ顔を向け直し、小皿にのせた玉子焼きを持つ手を引っ込めた。


「えっと、胡桃沢さんだっけ?そう言うことだから、これからも一花と仲良くして上げてね」


にこりと笑うその顔に段々と血の気が引いていくのが分かった。

蒼白となった私に追い討ちをかけるように煌は耳元で「ちょろい」なんてクッ、と口許を緩めた。




「━━━━━━━━━━!!!!!!!」


やられた!





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