溺愛なんて聞いてない!

人も多く、末席にいる私にはイケメンの頭すら見えないが。
やっと無くなった唐揚げに、何か喉を潤すものがないかと目の前にあったビールに手を伸ばす。

が、

「待て待て待て、流石に待てって」

「え?駄目?もうよくない?誰も見てないって」

「そうだけどさ……まぁ流石に乾杯まで待っとけ」


佐々木って軽そうな割に常識人なんだよね。


「佐々木、おかんみたいだね」

相変わらず、と呟けば。

「お前が自由すぎるんだよ」

なんて溢されて、唐揚げを再び放り込まれた。

うん、美味しいからこれでいいや。


ありがとう、の意味を込めて軽く頭を下げ咀嚼を続けるが佐々木が楽しそうに笑っていた。
何故?
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