俺、兄貴になりました④
「「ただいまー」」
玄関の扉が開く音と一緒に聞こえて来たのは、サッカー少年の双子の声。
「おう、おかえり」
「あれ、何やってんの?」
「テスト勉強だとよ」
ふーん、と興味なさそうに返事をした双子は、冷蔵庫からアイス棒を取り出して食べ始めた。
おい、ちょっと待て。
「お前らも確かテスト近かったよな」
そう言った瞬間、双子の肩がビクッと震えたのを見逃さなかった。
「なんのこと?」
「テスト?何それ、なんかの食べ物?」
こいつら…勉強する気ねぇな。
「とぼけんな。お前らも早くやれ!そのために部活がねぇんだろ」
「翔にぃ、許してよ。こういう時にしか休みないんだ、俺たち」
「そうそう。今休んどかないと体壊れちゃうよ」
まぁ、確かにそうだよな。
毎日遅くまで練習してて休みなんてほんのわずかしかねぇもんな。
「そうだな、ちゃんと休まねぇとな」
「「そうそう」」
うんうん、そうだよな。
「なんて言うと思ったか!!さっさとやれ!」
「「翔にぃ鬼ー!!」」
「誰が鬼だ!!」
学生の本業は勉強だろ!!
全く。
学校じゃ先生たちもこいつらを贔屓してるっぽいしな。
もっとキツくしていいですって言っとかねぇと。