俺、兄貴になりました④
「翔にぃふらふら…辛そうだねー」
「うん、なんとかしてあげたいけどね」
椅子に座ったままぐったりとしている翔にぃに、心配そうに呟いたのはアイドルの双子。
確かに、早くなんとかしてあげたい。
こんなに弱ってる翔にぃは初めてだから…。
今日は混んでるし、診察に呼ばれるまで時間がかかりそう。
意識はあるから普通に外来で来たけれど、倒れてしまったし、やっぱり救急車を呼んで早めに診てもらった方が良かったかな…。
「「水かけたら熱下がるかな」」
っっ!!?!?
ちょっ!!
本当にやりかねない双子のにぃ達に、慌てて駆け寄って止めに入る。
「恋にぃ、蒼にぃやめてっ!!死んじゃうっ、翔にぃ死んじゃうから!ね!?」
「バカなの!?にぃ達はバカなの!?」
「「俺たちは至って大真面目だよ」」
「大真面目に言っちゃってるから問題なんだよ、にぃ達」
ギャーギャーと病院で騒ぐ俺たちは、どれだけ周りに迷惑をかけているだろうか?
「お前らっ…うるせぇぞっ!…はぁ、はぁ……ここは病院なんだよっ…けほっ…分かってんのか、ぁあ!?」
「「あ、翔にぃが生き返った」」
「最初から生きてるわっ!!…っ、人を勝手に殺してんじゃねえ、ボケ!!」
いつまでも静かにならない俺たちに、ついに翔にぃがキレちゃった。
病院でこんなに騒がしくできるのなんて、俺たちくらいだと思う。
そのあと診察を受けて、薬をもらって、またタクシーに乗って家に帰った。
翔にぃの症状は過労によるストレスが、溜まりに溜まって爆発してしまったんだとか。
ウイルス性の熱ではないみたいだから、とりあえず安心。
急に倒れちゃったから、なにか重い病気なんじゃ…と心配したけど…、ホッと一安心。