俺、兄貴になりました④
彼女達がポカンとしている間になんとかその場を抜け出した。
あー…ホント面倒くさい。
でも、今日はさらに面倒な事が待ち受けてる。
「久遠さん、おはようございますぅ〜」
この鼻に付くような話し方に、あからさまに媚びてる態度。
「……おはようございます、成瀬さん」
俺が一番嫌いなタイプだ。
「久遠さん、今日ってバレンタインじゃないですかぁ〜」
「…そうですね」
だからなんだよ。
こっちは早くスタイリング終わらせてぇんだよ。
「私、チョコレート作ってきたんですぅ。食べたいですよねぇ?」
…は?
なんで俺が食べる前提なんだよ。
いつ俺が食べたいなんて言った。
「申し訳ありませんが、そういった物は受け取らないことにしていますので」
なるべく笑顔で言ったものの、怒りが収まらずに若干顔が歪んでしまったのは許して欲しい。