俺、兄貴になりました④
あー…ダメだ。
無性にあいつの声が聞きたい。
昔から、心が揺れるような事があった時は必ずあいつの透き通った声が聞きたくなる。
仕事…だろうな。
電話出ねぇよなぁ…。
そう思いながらも、ダメ元で凛に電話をかける。
しかし無機質な音がしばらく続き、一向に繋がる気配がない。
やっぱ忙しいか…。
諦めて耳から携帯を離し、電話を切ろうとした時。
『も、もしもし…っ、翔ちゃんっ??』
急いで出たように、少しだけ息を切らした凛の声が聞こえた。
その声を聞いただけで、俺の心が落ち着いていくのが分かる。
俺って単純だな。