俺、兄貴になりました④
と、思いきや。
ふいっとそっぽを向いて、サッカーの双子の方へ。
おいっ!!
「はははっ!!お前らじゃ嫌だってよっ!!」
兄貴、大爆笑すんな!!
「にぃ達のところに行ったら、何イタズラされるか分かんないもんね」
陽、お前あとで覚えてろ。
「よしよし、ほらおいでー」
「こっちですよー」
サッカーの双子はデザートのさくらんぼを餌に翠をおびき寄せている。
犬か、おい。
「いい子でちゅねー」
「もうちょっとでちゅよー」
いや、キモいから。
その赤ちゃん言葉やめろよ。
翠もそんな双子に嫌になったのか、急に方向転換をして兄貴の元へ。
「お?こっち来るか?」
兄貴の膝にポテンと頭を乗せた翠は、そのまま『スースー』と心地良さそうな寝息を立て始めた。
なんだ、結局兄貴か。
兄貴が気持ちよさそうに眠る翠の頭に優しく手を置く。
「いつも家事頑張ってるからな。たまには甘えてもいいだろう」
なんて言ってる。
たしかに翠は頑張ってる。
でも、この間兄貴が熱出した時も一緒に寝たのは翠だったし。
この歳になって子供か!とは自分でも思うけど、俺達だって甘えたい。
チラリと恋を見ると、恋も同じ気持ちだったようで。
うん、ならいいか。
2人でひょいっと寝ている翠を持ち上げて、慎の膝に乗せる。
「ええ!?俺!?」
なんて慌てる慎を放置。