俺、兄貴になりました④
「慶にぃ何してんの?遊ぼうよ!」
「翔にぃが新しいゲーム買ってくれたんだよっ」
バタバタと駆け寄って来たのは、小学生2人組。
定期テストなんて面倒なものをまだ知らない2人は、あくまで純粋に遊ぼうと誘う。
けれど、今の慶にとっては悪魔の囁きだろうな。
さすがに慶も今回ばかりは断るだろうけど。
「マジで!?やるやる!」
目を輝かせて即答した慶に、思わずズッコケる。
…おいっ!
ゲームにつられてんじゃねぇよ!
パコン!
「痛って!」
「慶、今俺が教えてあげてるんでしょ。早くこの問題解いて」
教科書を丸めて慶の頭を叩き、少し睨みを利かせて言い放つ翠。
顔はニコニコしてるけど、目が笑ってねぇ…。
「わ、分かりましたぁっ!!」
「よし」
慶が翠の言うことをよく聞くのは、兄として尊敬しているからというのもあるだろうけど、普通に怒った翠が1番怖いからっていうのもある気がする。