彼女の一番になる方法。
「それにしても」

と光一先生は鏡張りの室内を見ながら言った。

「やっぱり夕方くらいだと生徒もまだ来ないのかな。高校生って部活とかバイトが忙しいのか?」


「そうですね、今自習室で頑張ってる生徒って、うーんと、ここから見える範囲であれば、緑丘高校と青松高校の生徒ですかね。」


「すげーな、高校生。俺、まだ高1,2年の時ってやる気になれなかったもんなー」


それは先輩がすごいからですよ、と思い笑ってしまった。

光一先輩は、ここぞというときは本当にすごい。

同じ教育関係のゼミに入っていた時も、普段は遊んでいるのに、レポートの締め切り前に上出来なものを提出してたんだから。

そういう、『卒なくこなす人』、憧れるな。

「でもさ、柚子ちゃんのこと、すごいなーと俺思ってたんだよね、大学時代」

「え?
っていうか、先生って呼んでください!」



「ごめん、ごめん。
いや、柚子先生はさ、ゼミでいつも一生懸命レポート作ってたり、自分が発表でなくても相手の内容を深く理解するために、他の分野の勉強をしてたじゃん?あれ、結構尊敬してたんだよね。
俺はさ、こう、ちょちょっとやっちゃうタイプだから」


そんな風に思ってもらえていたなんて。

「ありがとうございます、嬉しいです」

「うんうん、素直でよろしい。(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)」

柚子、可愛いな。

思わず頭をなぜてしまう。


おっと、一応『先生』だからな、


今はなんでもSNSに載せられる時代だからな、

気を付けないと


と思い、ふと自習室の中をみると

男子生徒と目が合った

というか睨まれていた


なんで俺が睨まれなきゃいけないんだ。
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