彼女の一番になる方法。
一方、自習室の中では。
なんだあの男、初めて見るけど。
なんでセンセイの頭を触ってんだよ
てゆーか、距離ちけぇよ
「なーに怒ってんだよ、裕介」
小声で後ろにいた尊が話しかける。
「別に」
我ながら、幼い反応だとは思ったが、ムカつくのはしょうがない。
「ふーん」
尊はふと、入口を見た。
その瞬間、ははーんと反応。
「うっせぇな、別になんも思ってねぇよ」
「キャンキャン吠えるなよ、裕介。俺なんも言ってないじゃん」
「もうその顔がうるさい!」
「ひでぇ」
近くにいたほかの高校の生徒がゴホンと咳込んだので、静かに勉強に戻る。
数分後、また入口を見たが柚子先生はいなくなっていた。
授業が始まっても、さっきの様子が頭をちらつかせて集中できない。
それを見て尊がいちいち笑ってくる。
3時間後、やっとすべての授業が終わった。
なんなんだよ、今日は。
昼間は会えてうれしかったのに、なんでこんなテンション下がらなきゃいけねぇんだよ。
「裕介、俺今日ちょっとバイト先寄ってから帰るわ!
お前は?ついてくる?」
「いや、どーしよっかな、頭を冷やしたいから、ちょっと今日の復習してから帰ろうかな」
「なんで頭を冷やすのさ」
「うっせーな!
さっさとバイト先行けよ!」
ケラケラ笑いながら尊は帰っていった。