彼女の一番になる方法。



いつも三人、私とのりか先輩と課長で行っていた焼き鳥屋に、今回高橋先生が加わったため、いつもとは違う席へ案内された。


基本カウンターか半個室だったのに、今回は広い個室。
人数が違うと部屋も違うのかな。


「今日は高橋君、初日で疲れたと思うけどお疲れ様。
二人もいつもお疲れ様ね!
では、乾杯!」


「「「かんぱーい」」」


仕事終わりの生は最高!


のりか先輩が私の目の前に、

高橋先生が私の横に座っている。

課長はのりか先輩の横で、何を頼もうかメニューを真剣に見ている。


「柚子ちゃん、今日はありがとう。前半校舎案内とかシステムの使い方の違いとか押してくれたの、とても助かったよ。これからよろしくね」

二人で小さく乾杯をする。


「こちらこそ、戦力が増えて嬉しいです。」


課長がオーダーした焼き鳥が次から次にテーブルに運ばれる。

「今日は夕飯も食べれないくらい忙しかったからな。思い切り食え!」


喜びながらのりか先輩が我先に手に取る。

このメンバーだと、わざわざ焼き鳥を串から分けなくても良いから楽!

そんなのりか先輩を見て、高橋先生もダイレクトに食べていた。

私は明日は夕方出勤だけど、のりか先輩と課長は午前出勤だから飲むペースも控えているように見える。


あれ?二人が午前出勤っていうことは。


「高橋先生、明日って夕方出勤ですか?」

「ん?ごめん、まわりがうるさくて聞こえない」


たしかに、近くの大型液晶でサッカーが放送されているし、

課長たちは教育についてめっちゃ語っている。


「明日、高橋先生、夕方出勤ですか?」

顔を近づけて話す。


「そうだよ、明日たしか柚子ちゃんもだよね。
明日は結構俺も使いものに慣れると思うから、よろしくね」


そう言って頭をなぜてくれる。


そういえば、桜木くんもキスの前に頭を触っていた。


「高橋先生。先生が頭をなぜたくなる時ってどんな時ですか?」


ごほっと飲んでいたビールをこぼす先生。

「あ!これハンカチです!」

慌てて高橋先生の膝にこぼれたビールを拭く。


「あぁありがとう。

どんな時、かぁ。



うーん(゜-゜)


俺は、その子を可愛いな、と思うときかな。

ほら、今みたいに俺に一生懸命になってくれるときとか、

いいこいいこしたくなる。」



「かわいいとおもうとき、、、」



さっきの自習室で、私なにか可愛いことした?

てゆーか、普通に考えて高校生が8つも9つも年上の人を可愛いと思わないでしょ。


あれはただ、なんとなく触りたかったのかな。

思春期の男の子、難しいな。


うむむと悩んでいる私をにっこり見ている高橋先生に、私は気が付かなかった。

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