1%もアルモノ
「真美もやっと恋が出来るね。」
「は?」
「いつ告んの?」
「は?私が?」
「うん。」
「誰に?」
「大槻君に。」
「………はっ!?」
恋奈の言葉に私は固まった。
「違うの?」
「違う!!な訳ない!!」
「えー…」
なんだかつまらなさそうな恋奈。
何を期待してるんだ、この子は。
「嫌い嫌い大っ嫌い!!人の事たぬき呼わばりするし憎たらしいしムカつ…」
「悪かったな。」
声がした方を見ると、なんと大槻。
「…あら~……?」
「ば~か。だからお前はたぬきなんだよ。」
「…はっ………」
「じゃーな、俺はたぬき程暇じゃないんで。」
「…おっ………」
あまりに憎たらし過ぎて、あたしは何も言えなかった。
「仲いーね♪」
恋奈の言葉なんて無視。
何しにきたのよ、アイツ。
意味分かんないし。
「ばーか!!!!八点のくせに!!!!!」
「なっ…!!」
教室中に聞こえる声で叫ぶと、大槻は焦りながら近付いて来て、あたしの腕を掴んだ。
「お前それは反則だろ!!」
「事実でしょ!?」
「お前も大して変わんねーだろ!!」
「でも上は上だし!!」
「まぁまぁ由岐、落ち着いて。森下さんも。」
「………へ。」
大槻を宥める様にしてあたしの前に出た人物に大きく反応したのは、恋奈だった。
「平良君!?」
「ひ……?」
頬を紅く染める恋奈を見てから、あたしは平良と呼ばれた人の顔を見た。
………うわー、美少年。
サラッサラの髪に綺麗な顔。
キラキラしてる。
……そういえば隣のクラスにいたっけな。
気付けば周りの女子は皆、平良君を見ていた。
「平良!!止めんなよ!!」
「はいはい、由岐、次男子移動だよ。急がないと。」
「あっ、やべ…」
「ごめんね、森下さん。じゃあ。」
「………はぁ。どうも…」
立ち去る二人をあたしは唖然として見送った。