1%もアルモノ

否定



**************


「何見てんだよ。」

「………へ。」

英語の時間、気付けば視線の先に大槻がいた。

「…マヌケ面。」

「なっ………」

「……色気ねぇ反応。」

「はっ………」




《真美もやっと恋ができるね》


《大槻君じゃん。》




あれから大槻の顔を見る度、恋奈の大群が脳内の私に襲いかかって来る。


そして大槻に嫌味を言われると、恋奈の大群はやや笑いになる。



…気持ち悪っ…。


でも何故かいつも大槻の方を見てしまう。


……そんな自分も気持ち悪い。



「だから見てんじゃねぇよ、たぬ……」

「だぁれがあんたなんかす…」

「森下さん!!うるさい!!」


先生の声で我に返る。

……危ない危ない。

言っちゃうところだった。




『好き』って……。



「…先生ありがとう。」

「は?」

「…たぬき今日変。」

…先生も大槻も

奇怪な目で私を見ないでよ。

惨めになるじゃんよ。泣



「言っちゃえば良かったんだ。」

「は!?」

「好きって言っちゃえば良かったんだ。」

「何言うとんのアンタは―――!!」

「真美、おばちゃん口調やめなさい。」

「うっ……」

「そして座りなさい。」

「……はい。」

恋奈がやけに冷静だ。

…恋奈がこんな口調になる時は決まっている。


面倒臭い避難訓練の時と


「告っちゃえよ。」


…恋愛の話をする時。

「何で好きでもない奴に告んなきゃなんないのよ。」

「好きなくせに。」

「何を根拠に…」

「ライバル多いんだから早いもん勝ちだって。」

「…聞けよ。それにさぁ…アイツは来る者拒まずでは無いと思うよ?」

「……良く御存じですね。」

そう言って気味悪い笑みを漏らす恋奈。

やっべ鳥肌たった。

こえー……
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