猟犬に愛された姫~ドリームライブ~
「お前が整備場にいると目ざわりだし
うざいしイライラするしジャマなだけなんだよ。」



まだブツブツ言ってるし。



『そういえばボクシング辞めたの?』



あたしがそれを知っていることが
意外だったのか大将は目を丸くしたあと
顔をしかめた。




「どこまで知ってる?」



どこで知ったかは聞かないんだ…
まぁ…だいたいわかるから
聞かないんだろうけど…



『期待のルーキーとかチャンピオンとか。』




「そっか…」



どこか寂しそうな大将に
あたしは追求せずにお弁当を
片付けると従業員用のプレハブの外装に
貼り付けた身支度チェックのための
鏡の前に立った。




『自分のやりたいことなんか
よくわからないもんだよね。』




「稚菜?」



あたしは意味がわからなそうな顔をした
大将の方を振り向きニコっと笑った。




『だからとりあえず今はやりたいこと
全部やってみる…それが欲張りなあたしの考え。』




「俺はそんな器用じゃない。」




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