桜の下で
〜直也side〜

「菜穂達遅いな…」

「あはは!お前さぁ…時間見ろよ!まだ十分もあるんだからまだだろ!そしてその言葉何回目だよ!5回目ぐらいだぞ!」

隣で一樹はゲラゲラと笑っている。

「早く回りたい。」

「まだ4時にもなってないから店もやってねーぞ?さっき買った缶ジュースで我慢しろ。…くふふ…!」

「もうそろそろ笑うな」

そろそろうざったくなってきた…

「わかったわかった…ふふっ…もう少しでくると思うぞ?」

やっぱりわらってんじゃねーか…まぁあと五分そろそろだろうな。

そして鳥居の方は少しずつ騒がしくなってきている。

「ごめん遅れて!」

そう言って突然目の中に飛び込んできたのは藤色の浴衣姿の菜穂。

…え?

「…浴衣着てきたのか?」

「直也のお母さんに着せてもらって…変…かな?」

この時だけは母さんにありがとうと思った。

「変じゃない…可愛すぎ。」

「そ、そう?ちょっとやっぱり恥ずかしい…かも。」

「菜穂ちゃん可愛くなったじゃん!浴衣姿似合ってるよ!」

照れてるかを見るとこっちまで照れるんだけど!

もう少し一樹みたく上手く褒められないのかな…

すると環も追いついてきたらしく浴衣姿で走ってきた。

「ごめん!人混みに流されて…!」

すると隣にいた一樹が顔赤くしてめっちゃびっくりしてる。

「これで全員揃ったな。回るか。一樹行くぞ。」

一樹はなんかしゃがみこんで丸くなってる。

「一樹君!早く行こうよ!美味しいもの食べて回ろう!」

あれ無自覚だったら一樹きついだろうな。俺も菜穂にやられたら死にそう…
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