桜の下で
菜穂は泣きつかれたのか寝てしまった。

_…俺の服の袖を掴んだまま…

離して欲しい…俺が持たないって…いや、結構本格的に。

でもなんど離そうとしても離してくれない。

もしかして寝たフリして襲われたいんじゃないのか?って思うぐらい近い。

「うぅ…ん…」

ちょ?本気で襲われたいの?いやいや…腕を抱きしめないでよ…本当に無理だって…

誰か助けてくれ…いや…今もう夜だもんな…来るわけないよな…

「_…直也…あり…がと…」

寝言で言われると本当にきつい。

平気な風にふるまってるけど心の中今めちゃくちゃ混乱してるんだけど。

俺倒れそうなんだけど。キュン死しそうなんだけど…


すると菜穂が寝返りをうって離れてくれた。

よかったような悲しいような…

俺は立ち上がろうとする体をピタリと止める。

さっきの寝返りで袖が捲れて腕のアザが見えたからだ。



_…痛い思いしたんだよな。怖くて当然だよな。

結局菜穂に腕を抱き締めさせて俺も寝た。

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