お兄ちゃんの友達[完]
しばらくして部屋着に着替えたおにいちゃんが戻ってきて、リビングの隣の和室を開けると、河合さんにも着替えるように勧める。

「この部屋使ってくれればいいから。布団も後で出すよ」

「さんきゅ」

2缶目を飲みほしてぐちゃっと片手でつぶすと、河合さんは立ち上がって和室へ入って行った。

「河合に何かされたの?」

真っ赤になってうつむいていた私を心配して、おにいちゃんが隣に座る。

「な、なにもないよ!」

別に何かをされたわけじゃない、私が勝手に赤くなっただけだもの。

「あいつね、いいやつなんだよ。急だったけど、あいつをカナコに紹介したくてつれてきたんだ。ごめんな?」

くしゃっと私の髪に手を乗せるとやさしくなでてくれた。

これは私が一番安心するおにいちゃんのしぐさ。大きな手で、私の頭をなでてくれると、つらい時も悲しい時も乗り越えることができるような気になれるから。
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