太陽のさとうさん

顔は私を向いているのに、意識はパソコンの方にあるよう。


無造作だけどセットされているであろう髪の毛は、色白な肌に似合う黒色だった。


突然話しかけられた私はぼうっとしていたようで、

「邪魔なら動くんで」

と言って、パソコンを閉じた彼ではっとした。


「いや!あの、全然邪魔じゃなくて…その、逆に、私が邪魔になるかなって……」


あせあせと落ち着きのない女に見えたかもしれない。


じっとこちらを見る細長い目はとても静かで、こちらが焦ってしまう。


閉じたパソコンを開き直し「別に大丈夫です」と言うと、荷物を寄せてスペースを開けてくれた。


口数は少ないながらも気遣ってくれているらしい。


ここで引き返すなんてことも失礼だし、お言葉に甘えて空いたスペースを使わせてもらうことにした。

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