太陽のさとうさん
大学に入学して1ヶ月ぐらいは生活に慣れるのに精一杯で、
のほほんと高校生の頃のようにはしていられなかった。
福富さんも小説家として人気が出てきて、
あの不思議な関係も、いつしか無くなっていた。
それでも、福富さんとは夜ご飯を食べに行ったり、
出会った時のようにSNSで話したりと、
お姉さんのような存在で接してくれていた。
そんな福富さんは、私を見るといつも、
「ひまりちゃん、いい人見つかった?」
と言ってくる。
それはそれはニヤニヤしながら。
「その言葉、そっくりそのまま返します。」
そう言うと大抵福富さんは「も~釣れないなあ」と残念がっていた。
年齢=おひとり様の私には、いい人の基準がわからない。
それでも、高校生の時にイメージしていた佐藤さんがいい人であることは何となく分かっていた。