この夏が終わっても

「…里奈ちゃん。
今日は、言いたい事があるんだ。」

真剣な眼差しで見つめられる。
私はアイスティーをテーブルに置くと、グラスに手は添えたまま涼さんを見た。


「僕は、里奈ちゃんが好きだよ。」

その言葉に、私には周りの他の音が何も聞こえなくなる。
嘘偽りないとハッキリ分かるくらいに、真っ直ぐ”好き”って…。初めて言われた。


「僕と…、付き合って下さいっ…///。」

真っ赤になって、汗をかいて…。
いっぱいいっぱいな気持ちを、伝えてくれる涼さん。

……。

私は、きっと幸せになれる。
「はい。」って一言、言えば…。
たった一度、首を縦に頷く事をすれば…。

このまま穏やかな気持ちで、涼さんと居られる。

……。

……でも。
…っ…でもッ……。


「っ……ごめんな、さいッ。」

グラスから滴る冷たい水滴が手につたり落ちた瞬間、私はそう言って頭を下げていた。
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