この夏が終わっても

「ごめん、なさいっ…。ごめっ……ッ。」

私はきっとこの先何かある度に、涼さんに優しくされる度に、将ちゃんと重ねてしまう。
こんなにも将ちゃんていっぱいな気持ちで、他の人と付き合うなんて出来ない。


「……うん、そうだよね。
……。返事は、分かってたよ。」

何度も謝る私に、涼さんが言った。


「だって…。
里奈ちゃんの恋は、まだ終わってないんでしょ?」

その問い掛けに顔を上げると…。
いつもみたいに優しく微笑む涼さん。


「まだ、自分の気持ち…伝えてないよね?」

涼さんの言葉に、目が醒める。

なんでこんなに苦しいのか。
たくさん泣いてもスッキリしなかったのか…。
やっと、分かった。


「男ってね、結構鈍いんだよ?
ハッキリ言ってやらないと分からないんだ。
…里奈ちゃんなら、将馬君の事。誰よりも分かってるでしょ?」

涼さんは、まるで背中を押してくれるみたいに言った。
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