この夏が終わっても
…そうだ。
私は、まだ何も将ちゃんに伝えてない。
追いかけるだけで、一度追いついたら、満足して…。
傍に居て、待っているだけで…。
早く大人になろうと背伸びして、縮まらない年の差や時間を気にして…。
将ちゃんと本当に埋めなきゃいけなかった心の距離を、埋めていなかった。
「……涼さん。」
私は涼さんを見つめ返して、伝える。
「私は、涼さんとお付き合いは出来ません。
本当に、ごめんなさい…!」
「……。うん。
ちゃんと言ってくれて、ありがとう。」
もう一度深く頭を下げた私に涼さんはお礼を言ってくれて、「さっ、食べよ?」って、笑顔で一緒にパンケーキを食べてくれた。
初めて出会った時と変わらないその優しさ。
涼さんは私に何度も「優しいね。」って言ってくれたけど…。
本当に優しいのは、優しさで人を励ます事が出来る…。やっぱり、涼さんの方だ。
……
………。