この夏が終わっても

「……。
うん、いいんじゃない?」

演奏が終わって一呼吸置くと、清香ちゃんが言った。


「うんっ、私もいいと思う。」

「だよね?私も、この曲弾いてみたい!」

その言葉が信じられなくて、呆然とする私に…。みんなが、笑顔で見つめて「うん、うん!」と頷いてくれた。

喜びが、溢れる。


「っ…みんな!ありがとうっ!」

私はみんなの元に駆け寄ると、身体全体で喜びを表すように、初めて自分から抱き付いていた。
その時ようやく、自分の中で何かが変わっていく感じがした。

……。

「よ〜し!じゃあ、本番まで時間がないからバンバン練習しないとね!」

清香ちゃんの掛け声に、みんなで「お〜!」っと気合を入れると早速練習に入ろうと準備を始める。

すると…。
楽譜を改めて見ていた清香ちゃんからまさかの提案。
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