この夏が終わっても
「ところでさ…。
これって当然、里奈が歌うんだよね?」
「……。え……?」
その一言に…。私は、固まった。
「だってさ、これ私が得意な感じの曲じゃないし…。
作詞したのは里奈なんだから、1番気持ちを込めて歌えるでしょ?」
「……。」
「ね?二人もそう思うよね?」
タラタラと汗をかく私をよそに、二人も清香ちゃんに問いかけられて「そうだね〜。」と口を揃えて言っている。
う、歌う?
私が、歌うって…つまり……。
「頑張れ!里奈!
キーボード+ヴォーカルだねっ!」
「っ……えぇ〜〜っ?!」
予想外の展開に、部室には私の大きな驚き声が響き渡った。
「お!いい声出てるじゃん!
いける、いける!今日から特訓だね?」
肩を叩きながらウインクする清香ちゃんに、私は必死で首を横に振る。