この夏が終わっても

「ところでさ…。
これって当然、里奈が歌うんだよね?」

「……。え……?」

その一言に…。私は、固まった。


「だってさ、これ私が得意な感じの曲じゃないし…。
作詞したのは里奈なんだから、1番気持ちを込めて歌えるでしょ?」

「……。」

「ね?二人もそう思うよね?」

タラタラと汗をかく私をよそに、二人も清香ちゃんに問いかけられて「そうだね〜。」と口を揃えて言っている。


う、歌う?
私が、歌うって…つまり……。


「頑張れ!里奈!
キーボード+ヴォーカルだねっ!」

「っ……えぇ〜〜っ?!」

予想外の展開に、部室には私の大きな驚き声が響き渡った。


「お!いい声出てるじゃん!
いける、いける!今日から特訓だね?」

肩を叩きながらウインクする清香ちゃんに、私は必死で首を横に振る。
< 110 / 139 >

この作品をシェア

pagetop