この夏が終わっても

「その様子じゃ、読んでないな?
…ま、いいや!行くぞッ…!
早く行かなきゃ始まっちまうッ…!!」

「!っ…はぁ?お、おいっ……!!」

智樹は俺の手首を掴むと、強引に引っ張って走り始めた。


「っ…おい!なんだよっ…。
始まるって、なんの話……。」

「いいからッ…!黙って付いてこいッ!!
お前がいなきゃ始まらないんだよッ…!!」

「ッ……。」

よく分からないが、いつも場の盛り上げ役でおどけている智樹があまりにも真剣で…。
俺はその迫力に負けると、ただ手を引かれるままに一緒に走っていた。

……
………。
< 117 / 139 >

この作品をシェア

pagetop