この夏が終わっても
里奈の沈黙に客は次第にザワザワし始めて、場の雰囲気が気不味くなりそうになった。
その時…。
「里奈ちゃ〜〜んッ!!」
「頑張れ〜〜ッ!!
みんな、ここで観てるよ〜〜ッ!!!」
俺の隣に居た、智樹と涼が大きく手を振って…。ステージの上の里奈が気付くようにアピールする。
……すると。
こちらに顔を向けて、俺に気付いた里奈が…。
里奈が、俺と目が合った瞬間。
大好きな笑顔で、微笑っていた。
その眩しいくらいに輝く笑顔に、思わず手に持っていたスマホが手から滑り落ちて…。
俺は慌てて、拾った。
画面に表示されたままの、里奈のLINE。
『その時は、この夏が終わっても…。
将ちゃんの隣にいさせて下さい!』
その文字が、夢ではないのだと…。
ようやく、実感した。
……
………。