この夏が終わっても
【夏祭り会場/催しステージ】

ステージの参加者が控える舞台裏。
歌う事への、ステージへ立つ事の緊張よりも、将ちゃんが来てくれるかの不安の方が私を襲っていた。

私達はトップバッターだから、もうすぐにステージに出られるように控えていて…。手荷物は預かり所。スマホを確認する事も出来ない。

30分前に確認した時。
私が今日将ちゃんに送ったLINEはまだ既読になっていなくて…。
もしかしたら、もうLINEすら拒否られてしまっているのかも知れない。


「里奈、大丈夫？」

俯いていた私に声をかけてくれる清香ちゃんと、グループのみんな。
今日まで私の我が儘に付き合ってくれて、一緒に練習して、大事なステージを私にくれた大切な友達。

例え将ちゃんが観に来て居なくても、みんなの為に精一杯頑張らなくてはならない。


「ありがとう。大丈夫だよ！」

私は笑顔で頷くと、グループで円陣を組んで気合を入れた。

……
………。
< 124 / 139 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop