この夏が終わっても
ゆっくり顔を向けると…。
智樹さんと涼さんが、私に大きく手を振って…。
……。
その隣に、大好きな人を見付けた瞬間。
大きく跳ね上がる鼓動と共に、私は微笑んでいた。
もう、大丈夫。
あとは全力で歌うだけ。
私は、曲紹介をする為に口を開く。
「この曲は、私が大切な人の為に書いた曲ですっ…!!」
その言葉に、お客さん達はものすごく大きな歓声と拍手で応援してくれた。
余計な言葉は、もういらない。
全ては歌に乗せて、全力で歌う。
「聴いて下さいっ…!『名もなき花』!!」
弾む鼓動と、溢れる気持ちを…。
私は、ただただ歌い始めた。