この夏が終わっても
俺は里奈が好きだ。
3つ年下の彼女を幼い頃は妹のように可愛がっていたし、泣いている姿を見れば守ってやらなきゃと思ってた。
傍に居るのが当たり前で、里奈だって小学校低学年までは「大きくなったら、将ちゃんのお嫁さんになる!」って言ってくれていたんだ。
だから、当たり前だった。
いつとか、何がキッカケとかじゃなくて…。
”里奈は俺のお嫁さん”って思ってた。
…けど。
里奈が中学生になったら、あんなに無邪気に俺の家に押し掛けてきていた彼女は徐々にいなくなって…。町中で見掛けても、挨拶を交わす程度になった。
俺が毎年貰ってくる大量のバレンタインのチョコも、最初は喜んで食べてたクセにいつからか「いらない!」って拒否るようになって…。
……いや、それは俺が悪いか。
「せっかく女の子が気持ちを込めてくれた物なのに、将ちゃん酷いよ!」って、最後に言われたもんな。