この夏が終わっても

あの言葉は心に響いた。
あの瞬間、”ああ、こいつもこんな事を言う年齢になったんだな”って感じた。

……あ、そこからか。
急に里奈が…。いや、元々可愛かったんだが一段とキラキラ輝いて見えるようになったんだよな。
ちょっとした仕草とか表情とか見る度に頭を撫でたくなったり、細い腕を引き寄せて抱き締めたくなった。

高校に上がれば、化粧を始めたり、スカートの丈を短くしたりすっかり色気付いて…。俺はもう心配で心配で仕方がない。
里奈は頭がいいのになんか疎いというか、人を疑う事を知らないから変な男が寄ってきそうなのを、何度俺が陰で阻止していた事か…。


「…他の男なんかに、絶対渡したくねぇ。」

里奈の傍に1番近くにいるのは俺だ。
埋まらない3つという微妙な年の差を、俺はずっとずっと待って…。あいつと付き合える日を心待ちにしてたんだから。


そんな事を思っていたら急に声が聴きたくなって、俺はスマホで里奈に電話をかけた。
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