この夏が終わっても

///っ…こ、こいつ…ワザとか？
実は小悪魔系なのかっ…///？！

可愛くて可愛くて、今すぐ抱き締めたい。
そんな俺の心の葛藤をよそに、里奈は首を傾げて見上げてくる。


「将ちゃん？…あ、上着着ても…ダメ？」

その弱々しく「ダメ？」の言い方とか、ホントに反則だ。
赤くなっていく顔を見られたくなくて、俺は左手で自分の顔を覆うように隠すと里奈に背を向けた。


「…ま、いいんじゃねぇ。」

「そ、そう？…なら、よかった。」


よかった？
全然よくねぇよ、俺の心臓が…///。

心の中でツッコミを入れながらも、なんとか気持ちを落ち着けて…。俺は身体を少し里奈の方に向けて右手を差し出した。


「……ほら、行くぞ。」

「……。え？……。」

「……。」

「……。」

なかなか繋がれない俺の右手。
顔を覆っていた左手を退けて里奈を見ると、彼女はキョトンとして俺の右手を見ていた。