この夏が終わっても

「?…なにしてんだよ?」

焦れったくて、俺は右手を伸ばすと里奈の左手取り優しく引いた。


「!……えっ?手、繋ぐの…?」

「は?…そんなん、デートの基本だろ??
……。ほら、早く行くぞ。」

驚いた表情の里奈の手を引いたまま、俺はショッピングモールまでの道程を歩き始める。

デートと言ったら、恋人が出掛けると言ったら手を繋ぐ。俺にとっては当たり前の事だと思っていたから、たいして気に留めていなかった。

でも、里奈にとっては違った。


「///…しょ、将ちゃん。っ…将ちゃん///。」

「?……なに?」

「///…ご、ごめん。
私、手汗…すごくて……そのっ…///。」

呼ばれて隣の里奈を見ると…。顔を真っ赤にして、俺の手に包まれた汗ばんだ自分の手を申し訳なさそうに引っ込めようとしていた。
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