この夏が終わっても
【カラオケ】

買い物を済ませた私達は、カラオケをしながらお昼ご飯を食べる事にした。

…けれど。
私は食事の手が全く進まず、将ちゃんの歌声に聴き惚れてしまう。


「すご〜い!
将ちゃん、また高得点だぁ〜///!」

さっきから歌う曲すべて90点台の将ちゃん。
高校の文化祭で友達とバンドを組んでいた時も、ヴォーカルを務めていた。実はこっそり観に行っていて、あの時からもう一度彼の歌を聴きたいと思ってたんだよね。

今日は大好きな将ちゃんの歌声を独り占め出来ている事が嬉しくて、ふふっと表情を綻ばせていると、そんな私の前にマイクが差し出される。


「ほい。じゃ、次は里奈の番。」

「!…えっ?!
む、無理…だよ!私は…いいっ///。」

激しく首を横に振って俯く。
そりゃ友達とカラオケ行く時は歌うけど、将ちゃんの前で歌うなんて恥ずかしかった。
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