この夏が終わっても
「さっきから俺ばっかり歌ってんじゃん。
俺が飯食う間、何でもいいから歌えよ。」
「///っ……。わ、私…将ちゃんみたいに…上手く、ないし……///。」
強引に渡されたマイクを握り締めて戸惑っていると、ジュースを一口飲んだ将ちゃんが溜め息を吐く。
「別に上手い下手なんか関係ねぇだろ?好きな歌を思いっきり歌えばいいんだって。
…てか、お前軽音楽部に入ったんじゃねぇの?」
「!…な、何で知ってるのっ///?」
そう、実は私は高校で軽音楽部に入った。文化祭の時の将ちゃんに憧れて、始めた。
恥ずかしがり屋で、なかなか自信が持てない自分を変える為に。
…でも、……。
「///…ヴォ、ヴォーカルじゃ…なくて……。キ、キーボード…だし……///。」
仲良し四人で組んだ私達のグループのヴォーカルは、親友の清香(さやか)ちゃん。
清香ちゃんは活発で、歌もダンスもギターも上手いから一年生なのにみんなの人気者。