この夏が終わっても

「こんな時だけ余計な事ペラペラしゃべってんじゃねぇよ。
お前はいつもみたいに、大人しく黙っとけ。」

突き放されるみたいな言葉に、ズキッと胸が痛む。


……そう、だよね。
私は、嘘の恋人…だもん……。
余計な事は、言っちゃ…駄目なんだ……。


「うん、そうだよね。ごめんなさい。」

聞き分けの良い、大人しい彼女。
この二日間、私はそれを演じるだけ。
将ちゃんの言葉に頷いて笑って見せる。


「ちょっ、将馬!
いくら彼女だからってそんな……。」

「あ!いいんです!
いつも、こんな感じだから…大丈夫です!」

心配してくれる智樹さん達に、私が首を振って微笑んでいると…。将ちゃんはフイッと自販機の方へ行ってしまった。

将ちゃんの様子がおかしくて気になったけど、みんなの前で余計な事を言って、これ以上機嫌を損ねたくなくて…。私は何も聞けなかった。

……
………。
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