この夏が終わっても

将ちゃんが私にワザと教えてくれなかったなんて、絶対に思いたくなかった。
いくらホントの彼女じゃなくても、優しい彼がそんな意地悪する訳ない。


「ごめん、なさい…。
私、今日…海に入れない日……なんです///。」

初対面の人にこんな恥ずかしい嘘付きたくなかったけど、”月のものがきてしまった”。これが一番怪しまれずに断る理由だと思った。

…でも、恥ずかしくて泣きそう。
他の女性陣のみなさんは自分より年上で大人っぽい上に、服装もお洒落で…。
これから水着になってますます、輝いて…。

なのに、私は地味な服装でポツンと砂浜で過ごすんだと思ったら…。急激に孤独も感じて悲しくなってきた。

……。
けど、絶対に泣きたくない。


「っ……私は、この辺で荷物番して待ってますから。みなさん着替えてきて下さい。」

精一杯の笑顔でそう言うと、私は石段に座ってスマホを出した。
将ちゃんから、LINEもない。
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