この夏が終わっても
高校生になった将ちゃんは身長180㎝を超えて、バスケ部のエース。
バレンタインデーにはたくさんの紙袋一杯にチョコレートを貰ってきていて、ファンクラブまで出来ていたと噂で聞いた。
そして、大学に入った将ちゃんは髪を茶色に染めてピアスを空けて…。服装もすごくお洒落になって、眩しいくらいに輝いていた。
もう町中で見掛けても、とても気軽に声を掛けられない存在。
私は俯いていた顔を少し上げて、将ちゃんをチラッと見た。
絶対に大学でもモテモテであろう彼。
…でも。
私にこんなお願いをするって事は、恋人はまだいないって事だよね?
そう思うと、すごくホッとした。
ずっとずっと気になっていたけど、「彼女いるの?」なんてとても聞けなかったし。
それにね、他の誰でもなく私を頼って彼女役をお願いしてくれた事も嬉しかった。
だって、例えフリでも…。他の女の人が将ちゃんの隣に居たり、手を繋いでいたら…嫌だもん。