この夏が終わっても
【民宿】

夕方まで海で遊んで、日が暮れる前に俺達は今夜泊まる民宿に移動した。

色々問題が発生してどうなるかと思ったが、結局泊まるのは涼の親戚が経営する民宿。
ただ、涼は朝から俺達と一緒に行動はせずに先に民宿に行っており、夜のバーベキューは参加する事になったらしい。

涼と顔を合わせ辛かった俺は、朝はホッとしていたが…。これから民宿で顔を合わせた時にどうしようか、内心ドキドキしていた。


「お、あそこだ!あそこだ〜!
お〜い、涼〜来たぞ〜!」

少し離れた場所から智樹が民宿の前に立っている涼を見付けて、手を振りながら呼び掛ける。
それに気付いてこっちを見て軽く手を上げる涼。

涼と会うのはこの前突っかかって以来で、俺は目は合わせないままみんなに付いて歩いてた。
すると…。


「!…あれ?君、は……。」

民宿の前に着いたと同時に、俺の方に向かって涼の声が響く。

…いや、俺の隣に…向かって。
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