この夏が終わっても

けれど、嬉しい気持ちと同時に…。
私にこんなお願いをするって事は、彼にとって自分は恋愛対象ではないのかな?と複雑な想いが広がって、なかなか返事が出来ない。


本当の恋人には、なれないのかな?
将ちゃんは、私をどう想ってるの?

そんな事を心の中で呟いて見つめていると、私と目の合った将ちゃんは少し気不味そうにグラスに入ったジュースを飲み干して席を立った。


「わりっ、今の話は…忘れて。」

「!……えっ?」

「変な事言って悪かった。…じゃ、またな。」

微笑んで私の頭をポンポンッと叩く様に撫でると、将ちゃんは伝票を持って歩き出す。

……。
待って…。

お願いっ…待って…!!


とっさに叫んだ私の心。
自然と動いた私の身体。

隣を通り過ぎて帰ろうとした彼の服の裾を、私の手が必死に掴んで止めていた。
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