この夏が終わっても

……。
分かってる。
未来とは短い付き合いだが、すごくしっかりしたお姉さん。
この旅行中、誰よりも里奈を気遣って面倒を見てくれたのもあいつだ。

未来が里奈を危ないと分かってて、一人で外に出す筈がない。
悪いのは、全部俺だ。

自分の気持ちばかりで、虚勢を張って…。
知らない人に囲まれて不安な里奈を、ずっと放ったらかしにしてたんだから…。


里奈、ごめんっ…。
頼むから無事でいてくれっ…!!

心の中で叫んで、玄関の扉を開けて辺りを見回していると…。
どこからか、人の話し声が聞こえた。

……。

ゆっくりその声の方に進むと…。
中庭から、男女の話し声。
内容はよく分からないが、聴き覚えのある声に心臓が嫌な音を立ててくる。

ゆっくりと、建物の陰から覗くと…。
俺の目に移るのは、ベンチに座る里奈をすぐ傍で見つめる涼。
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