この夏が終わっても
……。
心臓がズキッと痛いくらいに鳴って…。
さっきまで心配だった気持ちが、一瞬で嫉妬という怒りに変わる。
爆発しそうな感情のまま飛び出そうとした瞬間。
里奈の前で前屈みになった涼の顔が、彼女の顔と重なった。
……。
目の前が真っ暗になる。
キス、した。
今、涼が里奈に…キスした?
固まったままの俺の目に映るのは…。
姿勢を直して傍にいる涼と、微笑み合っている里奈の姿。
……。
ほら、やっぱり…。
結局最後は、こうなるんだ。
16年なんて時間は、無駄でしかなくて…。
どんなに頑張っても、耐えても…。
産まれながらに恵まれた奴が全部全部、簡単に宝物を手に入れていくんだ…!!
建物の反対側に歩んで行く涼は、俺の存在に気付く事なく去って行った。
俺は、涼を見送ってベンチを立ち上がった里奈に歩み寄る。