この夏が終わっても

「…ふ〜ん。
ハンカチって、これ?」

俺は里奈のパーカーのポケットから涼にもらったらしきハンカチを取り出して、彼女の目の前で握り潰すと…。
ガードレールの反対側の海岸に、投げ捨てた。


「……。
酷いよ…っ、将ちゃん……。」

暫く呆然としていた里奈が、呟いた。


「っ…なんで、…こんな酷い事…するの?」

涙を浮かべながら、俺を一度見て…。
里奈は涙を拭うと、俺が捨てたハンカチを拾いに行こうと駆け出した。


なんで、こんな事をするか?って…?
そんなんっ…決まってるだろッ!?

もう、止められなかった。
里奈に気付いていほしくて、苦しくて…。
大好きで大好きで仕方ない気持ちが、言葉より先に行動で溢れる。


俺は、俺の前を横切ろうとした里奈を捕まえて…。
両肩を掴むと、強引に唇を奪った。
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