この夏が終わっても

……
………。

俺が民宿に戻ると、玄関口で智樹達が集まっていた。


「!…あ、将馬!
里奈ちゃん、居たかっ?未来達から話聞いて、今から捜しに行こうと思ってたんだ!」

「……。
先の海岸沿いの道路にいるよ。すぐ戻ってくんじゃね…。」

そう言って、慌てる智樹達の間を抜けて民宿の中に戻ろうとすると…。止めるように俺の腕をガッと誰かが掴む。


「…なんだよ、それ。
お前まさか…彼女をこんな夜中に一人で道端に置いてきたのかっ?!」

俺の腕を掴んでいたのは、涼。
今まで聞いた事もないような口調で俺を睨み付けてくる。

正義のヒーロー。
俺は、お前みたいになれねぇんだから…。しょうがねぇだろ。


「っ……馬鹿野朗ッ。」

フイッと目を逸らした俺にそう吐き捨てると、涼は腕を放して駆け出して行った。
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