にゃんとも失せ物捜査課です
「一緒に寝よーよー。」
散々泣いて気まずい犬飼に美雨の呆れ返るようなセリフが掛けられる。
「必要ない。」
犬飼はそっけなく返事をした。
風呂も済ませ、2人でそれぞれベッドと布団に入った。
天井を見上げ、寝つけずにいた犬飼に先ほどの言葉である。
んっとにこいつが何考えてんだか、分かるわけがないんだ。
つい美雨に体を預けて泣いてしまった自分。
その気恥ずかしさに一緒にいることも勘弁して欲しいのに、既に布団を用意してしまってある。
今さら追い出せるほど冷たくもできないし、なんなら本当に腕の中に美雨を抱いて寝たいと思いそうな自分がいて、それを認められずにいた。
「おじいちゃんといつも一緒に寝てたの。
だから寂しい……。」
ったく本当かよ。
でも………そうだな。
「お前が凹んだ時は添い寝してやってもいい。」
「本当?」
明るい声を出した美雨が布団からベッドに移動してきた。
肌触りの良さそうなパジャマに着替えていた美雨から自分と同じシャンプーの香りがする。
「なんでこうなるんだよ。
凹んだ時はっつたろ!」
そう言いつつも美雨の温かなぬくもりを近くに感じて、もう離したくない気持ちに傾いていた。
温かくて柔らかくてホッとするぬくもり。
そして犬飼の訴えは聞き流され、美雨は思わぬことを話し始めた。
「最初から全部分かってた。
………けど言いたくなかったの。
ごめんなさい。」
小さな声は消え入るように儚げで、自分ばかり辛いと思っていた浅はかさに気づいた。
恐る恐る腕を回して抱き寄せれば、ぎゅっとしがみついて来た美雨は心なしか震えていた。