にゃんとも失せ物捜査課です

15.戻った日常

 木村さんが自白してくれたおかげで、血の海の事件は完全に解決した。
『失せ物』の手柄だということで、解体は先延ばしになりそうだった。

 そして犬飼が指示した場所に猫の死骸があり、今回の事件で被害にあった猫たちも発見された。

 もちろんその場所は美雨が教えてくれた場所だったが、自分が動物と話せることを知られたくない様子の美雨に「木村さんの話から想定した場所」ということにした。

『失せ物』では言葉を発しない美雨。
 アパートや、木村さんのような人の前では話すのに、一転してだんまりだ。
 まだ『失せ物』では気を許していないようだった。

「良かったわ。とりあえずは解体ってことにならなくて。」

 栗山が安堵した表情を浮かべた。

 今日は珍しいメンバーも来ていた。
 綾部広大(あやべこうだい)と中村有希(なかむらゆき)だ。

 中村はショートカットの活発そうなボーイッシュな女性。
 性格もサバサバしていて男と話しているのかと錯覚する時もあるほどだ。

 その中村が口を開いた。

「ワンちゃんのお手柄だってね。
 私も『失せ物』無くなると困るから助かった!」

『失せ物』にいるメンバーは大抵が『失せ物』を気に入っていた。

 犬飼は常々、こんな追いやられたような部署を気に入ってるなんて、どうかしてる。と思っていたが、だからと言って批判的というわけでもなかった。
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