君のことが気になって仕方がない


「あの……マネージャー」


 な、中村君っ。

 意識している人に話しかけられて、思わず動揺。


「ドリンクをいただけますか?」

「は、はいっ、どうぞ!」

「ありがとうございます。いただきます」


 中村君は受け取ると、その場で飲み始めた。

 ダメ。普通に出来ない。

 おととい保健室で、熱にうなされながら眠っていた時に見た夢が、頭から離れなくて……。

 私は、その夢の中で

 中村君と……キスをした。

 ただの夢ならここまで意識しなかったのに、何でかリアルで、まるで現実みたいだった。

 あんな夢を見るなんて……。

 きっと、気になってる中村君が、私を運んでくれたのが印象に残ってたんだと思う。だから、あんな夢を……


「マネージャー? 顔が赤いですが、また熱が出たんじゃ……」


 はっ、いけない! こんなことを、中村君がいる前で考え込んじゃってた!


「ちがっ! そうじゃなくて、キスがっ」

「えっ……キ、キス?」


 わー、バカッ! 口が滑った!

 絶対変だと思われる! 恥ずかしいー!


「……すみません。気づいてたんですね」

「……何が?」

「俺がマネージャーに、キスしたのを……」

「……え?」


 中村君が、真っ赤になってる……。

 私に……キスをした?

 てことは……うそ。



 キスは、夢じゃなくて

 ホントに現実だったの?

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