君のことが気になって仕方がない


「マネージャー、あの」

「ごめん中村君。忙しいからっ」


 あぁ、私……ずっと中村君を避けちゃってる。


 だって中村君が……眠っていた私に、キスをしただなんてっ。

 うわ。また顔が熱くなった。


 中村君は必死に謝ってたけど、別に怒ってるワケじゃない。私だってホントは避けたくない。

 ただ、どうしていいのか、わからないだけなんだよ。

 逃げるように体育館の外へ出た。


「待って下さい!」

「なっ……」


 中村君に、腕を掴まれた。


「マネージャー。お願いですから、避けないで下さい」


 中村君の顔が近い。

 キスを、余計に思い出しちゃうっ。

 やめて……。


「っ、やだってば! お願いだから、もう話しかけてこないでっ!」


 はっ……やだ。

 今の言い方は、マズイ……。


「……わかりました。すみません……」

「あっ……」


 中村君はスッと離れて、体育館の方へと歩いていった。


 どうしよ。中村君、傷ついた顔してた。

 違う。違うの。

 私、そんなつもりじゃなかったのに……。


 中村君の背中を、ボーゼンとして見つめながら、

 涙を流した。

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