君のことが気になって仕方がない



「はぁー……」


 バスケ部のマネージャーである私は、

 最近気になる人がいる。

 それは──


「中村、ナイスシュート!」

「ありがとうございます!」


 今、ナイスシュートをしてキャプテンに褒められた、あの中村君。


 あの中村君が、この前──


(俺は、マネージャーのことを……

 好きだと思ってるよ)


 と、ファンの前で堂々と告白をした。


 そのおかげでなのか、ファン達が私に絡んでくることはなくなった。

 なくなったんだけど……そのかわり、私が中村君で、頭と胸がいっぱいになってしまった。

 中村君、今までそんな素振りを見せなかったじゃない。

 なのに、急に


「私を好きだなんて、信じられないよ……」

「……マネージャー」

「っ、わぁ!! な……中村君!?」


 いつの間にか目の前にっ!


「あの、タオルを貰おうかと思って来たんですが……」

「タ、タオルねっ! はいっ!」


 サッと渡すと、中村君はその場で汗を拭いた。

 中村君、気まずそうな表情してる。

 今のひとり言、完ぺき聞かれちゃったよね。どうしよー。


「マネージャー」

「は、はい! な、なぁに?」

「この前は、いきなりあんなことを言って、すみませんでした」

「う……ううんっ」


 ダメだ。緊張してまともに顔が見れない。



「マネージャーは信じられないでしょうけど、

 でも俺……本気ですから」



 っ、中村君……。

 低く囁く声に、胸が自然とトクンって鳴った。




「……失礼しました。練習に戻ります」

「あっ、うん……」



 中村君は私にタオルを返すと、コート内に駆け足で戻っていった。

 思わず、受け取ったタオルをギュッと握った。




(俺……本気ですから)




 はぁ……ホントにどうしよう。胸が苦しいよ。



 私は今、中村君のことをどう想ってるの?



 ますます中村君のことが気になってきちゃったよ。

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