空飛ぶ計画
私は詩の朗読中、何度か我慢した涙を感情に逆らわず流した。拍手は、鳴り止まない。
拍手に向かって、ありがとうございました、と言う声も、涙で震えてる。情けない声だった。
鳴り止まない拍手に向かって私は初めて話しかけた。
「詩を聞いてくれる誰か、さん。私はあなたを知りません。男なのか女なのか、何歳なのか、どんな性格なのか、どんな顔なのか、どんな風に生きてきてどんな風に生きていくのか…」
拍手はいつの間にか鳴り止んでいた。
「…聞きたい事がひとつだけあります。私は…
私は一週間後もまたこのベランダからお空に向かって詩を読んでいいですか?」
パチパチパチ。
拍手が、聞こえた。
誰か、は許してくれたのだ。詩を読むことを、生き続けることを。わずかでもいい。望んでくれたのだ。「私」の生を。